60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

コモンズと西岡さん



入試部同僚の先生が深くかかわられた、KSCアカデミックコモンズが今春オープン。
神戸三田キャンパス(KSC)に続いて、来年には西宮上ヶ原キャンパス(NUC)にも。
コモンズは「入会地」の意で、学生の共用スペース。
ゼミ時間外にゼミ生たちが集まって議論や作業しようとすると
スペース確保にけっこう難渋するのだが、その解決になりそう。


以上、入試広報。あと、昨日の日経新聞朝刊に
開沼博『漂白される社会』の書評を載せていただいた。
今回はフクシマ論ではなく、社会のグレイゾーンに生きる人々が主人公。
そのグレイゾーンも不可視化され、漂白されている現在を描く…
といった作品。著者の雑誌記者としての経験が生きており
それらの人々の姿が、造形深く描写されているところが最大の魅力
みたいな書評を書いた。どこか、イッセー尾形友近
最近では三浦マイルド(R1ネタ「道路交通警備員西岡さんの言葉」)など
市井の人々の模写芸を髣髴とさせる…、といった内容の書評だった。


もともとは、もっともっと西岡さんによった原稿だったが
バランスを欠いていたので修正した。順法意識がやや低く
女性とギャンブルが好きで、ちょっとお金にだらしない
ちょい悪(ジローラモ的な意味ではなく)な中年男性西岡さん。
その西岡さんに向けられた三浦マイルドの視線は、
詳細な観察ながらも、どこかあたたかい。
西岡さんの人間臭さが、むんむんと立ち上ってくる感じ。
こうした三浦マイルドな視線は、開沼氏にも共通しており、
少なくともR1グランプリの場で、
「西岡さん、しょーもないですねー」とコメントした女子アナとは
まったく違う、みたいなことを最初の原稿では書いていた。
そりゃあんたは、大手企業の正社員で、容姿に恵まれ
非常にお金のかかりそうな大学出る余裕があったかもしれないけど
その「上から感」はなぁ〜。あなたはオジサン系週刊誌なんかで
好感度1位の座にいるんじゃないの〜。あ、でも西岡さんが読むのは
タブロイド紙型の新聞だったり、
「女子アナよりも組関係者がアイドル視されている系の週刊誌」や
「昨今、電車内で読むと公然セクハラ扱いされうる系の雑誌」
なんだろうなぁ、といったことを、まず思ったもので。
でも、いささか脱線しすぎなので、西岡さん関連をマイルドに。


コモンズは、キャンパスの余白みたいな部分だが、
それはそれで重要な意味をもっているのだろう(くるのだろう)。
入会地(里山)のような「あいまいな部分」を残しつつ
どう社会はあるべきか、といった問題意識を
『漂白される社会』には感じた。ま、違法・脱法行為や
迷惑行為は、厳しく処置・処分されて当然なんだろうけど
西岡さん的な偸安や西岡さん的な存在が許容される場所は、
その余地はあった方がいいんじゃないの〜、みたいなこと。


今日は午前中会議、午後は4年生ゼミ。


J・ル=ゴフ『中世の身体』藤原書店、2006