60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

中芝右派、左派

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そういえば、3月末にこうしたものも発行されていた。

昨年度最後のチャペルアワーにて行った、学部長としての最後の講話が採録されている。

内容的には、4年間、学部長というものをやってみて、

関西学院なるものが少しわかったような気がする、といったお話。

 

さて、関西学院とは、どういうところなのだろうか。

 

昨秋、昨春からその職に就かれた理事長・副理事長との懇談の機会があった。

各学部の要望や様子を聞かせてほしい、というのが主旨だったと思う。

その冒頭、本学商学部生え抜きの理事長から、中央芝生の向こう側のことは

よくわからない点もあると思うから、話を聞きたいのだといった発言があった。

理事長は、中学時代から含めれば、60年以上このキャンパスにおられた方だ。

(ちなみに、企業経営を経験した副理事長は、経済学部の同窓)

 

関学上ヶ原キャンパスは、正門入って正面の時計台に向かい、

右手には文学部・神学部(右手奥に社会学部)

左手に商学部・経済学部・法学部という配置になっている。

仮にここでは、前者を中央芝生右派、後者を中央芝生左派と呼んでおこう。

右派は人文学系、左派は社会科学系・実学系ということになろうか。

社会学部はその点、鵺的な、コウモリ的な存在ということになりそうだが

文学部社会学科から派生してるので、どちらかといえば右派的だろう。

その他、人間福祉学部は、もともと文学部社会事業学科から出発しており

教育学部ともども、右派的な色彩が濃い。

一方、国際学部は、まぁ左派的な感じがする。

 

右派と左派の傾向を、ざっくり言ってしまえば

左派が「教育資源をデキる学生に集中的に投下し、それらの学生が国際的な舞台(ビジネス、外交、NPOetc.)などで活躍し、そうした卒業生を輩出し続けることで、大学のブランドイメージを保ち、新たな入学者を確保していきたい」というエリーティシズムの色合いが濃いのに対し、

右派は「遅い早いはありつつも、皆がそれぞれの進む道を見出して、それぞれなんとかがんばってくれたらいいよなぁ」という感じだろうか。

もちろん、これは相対的なもので、右側からバリバリの国際的なビジネスパーソンが出てくるかもしれないし、

左側から地道な社会活動に挺身する人が現れることも多々あるだろう。

社会学部は、長い間、社会学科と社会福祉学科が共存する学部だった。

社会福祉学科が、人間福祉学部に発展的に改組されて10年以上経つが、

まぁどちらかといえば、学生をもれなくケアしていこういう気風が残っている

(もちろん、左派の学部が、学生のケアが手薄だということではない)。

 

で、以前にも書いたことだが、

https://sidnanba.hatenablog.com/archive/2020/04/01

法・経・商・社の4学部のうち、ゼミ・卒論の必修制をとっているのは

社会学部だけである。その事情を考慮して、学生定員を維持・拡大せよとか

入学者がもっと増えるように合格を出せ、とか言わんといてほしいもんだなぁ

といったことを、こちらとしては理事長・副理事長には上申したつもりである。

 

グローバル化への対応(具体的には留学生数の増、国際機関等で勤務する卒業生数の増など)をはじめ、

(とくに国際舞台での活躍に)意欲的な学生に集中的に資源を投下しようとするのも、

そりゃ一つの方策だろうが、この状況では留学者も減るだろうし、国際寮の建設もいいけど

グローバル化施策に費やす金を、少しでもオンライン授業に対応しづらい学生へと回してやりゃあいいのに。

具体的には、その必要のある学生に、モバイルルーターくらい、無償で貸与してやれよ、と思う。

現時点でネット環境が整っていない学生は、それなりに経済的にしんどい子たちだろうに。

この状況じゃあ、バイトのシフトも入れられなくて、さらに困窮してるだろうに。

生協かまして、若干割安で提供しますといわれてもねぇ。

教務機構を始め、現場の教職員は、一生懸命対応してるけど。先立つものが乏しい感じがする。

 

右派と左派のバランスで成り立ってきた関西学院

右派バネがもう少しはたらいてもいいような気がする。