60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

図書館とモビール、3年ゼミ

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3年ゼミレポートについてのコメント的なこと(3年生に流したものを一部改変)。
2年ゼミ生とか、1年生のゼミ選択とかの参考になればよいかと思い、貼っておきます。
3年生、これからというかもうすでに、就活たいへんでしょうが、まぁなんとか乗り切ってほしいもんだと思います。

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 おおむねレポート提出されたので、ざっと感想を残しておきます。

 レポートの内容としては、例年のことですが、メディア(SNS、動画配信サービス、テレビ…)、広告・PR、エンタテインメント・各種コンテンツ(アイドル(ファンダム)、韓流・K-POP、J-POP、ゲーム、デザイン、コスプレ…)、ファッション・美容などが、まぁ多かったような。他には、ツーリズム・組織論・地域ブランドといったあたりや業界研究(メディア産業・広告・地方局、食品、アパレル・コスメ、ゲーム)など。現時点ではこのレポートが、卒論のテーマに直接つながるかどうかは???でしょうが、卒論はできるだけ自分の経験や興味関心にひきつけておく方が、いざ書くとなった時に書きやすいし、モチベーションも維持しやすいように思います。

 また、コロナ禍の中、なかなか大学図書館も利用しづらいでしょうが、図書館のwebデータベース(新聞・雑誌記事検索)や論文検索(Cinii)など使い慣れておいてほしいと思いました(それらを駆使してレポート書いてた人もいましたけど)。webデータベース(新聞・雑誌記事検索)は就活の際にも効果的だと思います。ネットの検索でそれなりに情報は集まりますが、それは誰でもやることだし、情報の精度や質はいろいろだし、直近のことしかわからない場合も多いかと思います。採用面接の場で、「御社は○○であり…」と言うと、「ネットではそうなってるらしいね(冷笑)」「皆、同じこと言うね(苦笑)」といったリアクションをくらうこともあろうかと思います。一歩踏み込んだ知識・情報を得るために、他の学生との差別化をはかるために、webデータベースを活用してください。学費を取り返すには、図書館を使い倒すのが最善の手です。さらに卒論作成時には、論文検索活用してほしいと思います。自分のテーマに関連している論文をpdfで閲覧・ダウンロードできることも多いです。

 以下は書籍紹介を中心に。メディア全般や社会(意識)全般を概観したい場合は、
『情報メディア白書』ダイヤモンド社(各年)
『日本人の情報行動』東京大学出版会(5年毎)
NHK放送文化研究所編『現代日本人の意識構造[第九版]』NHKブックス、2020年
博報堂生活総合研究所『生活者の平成30年史:データでよむ価値観の変化』日本経済新聞出版、2019年
などで変遷をたどるのがよいかと思います。

T

IT業界研究

H

SNS社会における大和撫子のポテンシャル

O

インスタグラムがサステナブルな社会にどう影響を与えるのか

残念ながらIT業界はよくわからないです。SNSを中心としたメディアの概況について読みやすそうなのは
原田曜平『Z世代:若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』光文社新書、2020年
天野彬『SNS変遷史』イースト・プレス新書、2019年

 

O

地方メディアの存在意義と展望

脇浜紀子・菅谷実編『メディア・ローカリズム:地域ニュース・地域情報をどう支えるのか』中央経済社、2019年
脇浜紀子『「ローカルテレビ」の再構築:地域情報発信力強化の視点から』日本評論社、2019年

 

A

広告代理店とPR会社の違いとは

H・S

広告では描かれない食品業界の裏側

H・N

ビール広告から見るメディアの変化

H・K

日本で炎上しない広告をつくるには:CMが映す女性へのジェンダーバイアス

M

映像コンテンツによる視聴者の購買行動分析

概況を知るには
日経広告研究所『広告ってすごい!がわかる 人気講座Vol.2』日経広告研究所、2019年
境治『嫌われモノの〈広告〉は再生するか』イースト・プレス、2020年
だとか、事例などにあたりたければ『広告白書』(各年、日経広告研究所)や雑誌『宣伝会議』『ブレーン』『広報会議』『広告科学』『日経広告研究所報』など。PRに関しては
河炅珍『パブリック・リレーションズの歴史社会学岩波書店、2017年
という本があるので図書館で探してみてください。

H・Kさんの気になってる広告とジェンダーに関して、瀬地山本以外ではまず
治部れんげ『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養』日本経済新聞出版、2018年
上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究』岩波現代文庫、2009年
あたりを勧めておきます。CiNiiなどを使えば、
宮下美砂子「現代日本のライフスタイルとジェンダー:「炎上」時代の広告から考える」『千葉大学人文公共学研究論集』40、2020年
に行き着くと思います。先にも触れたように、こうした大学が出してる紀要の類の論文は、pdfをダウンロードできたりします。広告分析に関しては「ポンサピタックサンティ・ピヤ」で検索すれば、いろいろ行き当たるはず。

Mくんのテーマに関しても、紀要や学術誌で何か論文あるかも。「プロダクト・プレイスメント(映像コンテンツの中に商品をおく広告・プロモーション手法)」をはじめ、「アドバトリアル(広告advertisingと編集editorialから。雑誌の編集タイアップ記事)」「インフォマーシャル(情報番組とコマーシャルのハイブリッド)」「ネイティブ・アド(ネット上で、広告かコンテンツかが曖昧となっている状態)」などのワードで検索すれば、いろいろ出てくると思います。

 

T

乃木坂46の女性オタクのプロシューマ―化について

S

ソーシャル化するアイドルビジネス

T

BTS成功の理由

S

BLACKPINK と女性像:私たち女性が求めるものとは

M

なぜ第四次韓流ブームが定額制動画配信サービスのNetflixによって生み出されたのか

アイドル総論では
太田省一『アイドル進化論:南沙織から初音ミクAKB48まで』筑摩書房、2011年
香月孝史『「アイドル」の読み方:混乱する「語り」を問う』青弓社、2014年
西兼志『アイドル/メディア論講義』東京大学出版会、2017年
塚田修一・松田修平『アイドルの教科書』青弓社、2016年
アイドル各論だと
森貴史『〈現場〉のアイドル文化論:大学教授、ハロプロアイドルに逢いにゆく。』関西大学出版局、2020年
香月孝史『乃木坂46ドラマトゥルギー:演じる身体/フィクション/静かな成熟』青弓社、2020年
ユリイカ(特集:K-POPスタディーズ)』青土社、2018年11月号
金成玟『K-POP岩波新書、2018年
吉光正絵「送り手とファンの相互作用:K-POPの女性ファン文化」『新社会学研究』3、2018年
吉光正絵「K-POPにはまる「女子」たち:ファン集団から見えるアジア」馬場伸彦・池田太臣編『「女子」の時代!』青弓社、2012年

「吉光正絵」で検索すると、ファンダム研究もろもろの入り口になると思います。Netflixに関しては
ジーナ・キーティング『NETFLIX:コンテンツ帝国の野望』新潮社、2019年

 

Y

在日コリアンとメディアの関係性

難波功士在日コリアンの表象」山泰幸編『在日コリアンの離散と生の諸相』明石書店、2017年
鄭栄鎭『在日朝鮮人アイデンティティの変容と揺らぎ:「民族」の想像/創造』法律文化社、2018年
川端浩平『排外主義と在日コリアン晃洋書房、2020年

 

F

社会学においての液状化現象/小学生英語の必要性/メディアが観光に及ぼす影響

岡本健「多様な「空間」をめぐる多彩な「移動」:ポスト情報観光論への旅」岡本健・松井広志編『ポスト情報メディア論』ナカニシヤ出版、2018年
遠藤英樹ほか『観光メディア論』ナカニシヤ出版、2014年

 

K

「消費しない若者」のファッション離れについて

F

日本の若者のファッション・カルチャーの変遷

藤嶋陽子「着こなしの手本を示す:読者モデルからインフルエンサーへ」岡本健・松井広志編『ポスト情報メディア論』ナカニシヤ出版、2018年
渡辺明日香『東京ファッションクロニクル』青幻舎、2016年
ストリートファッションに関しては「渡辺明日香」で漁るといろいろ出てくると思います。
島健輔『アパレルの終焉と再生』朝日新書、2020年
黒木亮『アパレル興亡』岩波書店、2020年
米澤泉『おしゃれ嫌い:私たちがユニクロを選ぶ本当の理由』幻冬舎新書、2019年
などでファッション産業の現状について概観できるでしょう(そして暗い気持ちになるでしょう)。

 

C

現代社会におけるコスプレの役割

貝沼明華「現代コスプレの分析」岡本健・松井広志編『ポスト情報メディア論』ナカニシヤ出版、2018年
化濱『コスプレでつながる中国と日本:越境するサブカルチャー日本図書センター、2012年

 

O

米津玄師から人のこころ(感情)を紐解く

昔の本ですけど、歌詞分析の名著としては
舌津智之『どうにもとまらない歌謡曲:70年代のジェンダー晶文社、2002年
見田宗介『近代日本の心情の歴史:流行歌の社会心理史』講談社学術文庫、1978年

 

F

体育会における人間関係

片岡栄美「象徴権力としてのスポーツとジェンダー:「体育会系」ハビトゥスに見られるスポーツの象徴支配」小川(西荻)葉子ほか編『モビリティーズのまなざし』丸善出版、2020年
上原健太郎「運動部の学生にとっての大学生活とは?」有田亘・松井広志編『いろいろあるコミュニケーション社会学北樹出版、2018年

以前、難波功士「伝統墨守バンカラから「taiikukai」へ」(2018年9月10日発行『中央公論』132-10(1619)(2018年10月号))という文章を書いたことがありましたが、たしか「体育会特集」の号でした。悪質タックル事件の年だったと記憶しています。

 

F

ゲーム業界研究

小山友介『日本デジタルゲーム産業史(増補改訂版):ファミコン以前からスマホゲームまで』人文書院、2020年
小林信重『デジタルゲーム研究入門』ミネルヴァ書房、2020年

 

H

西宮北口はなぜ関西で圧倒的に人気があるのか

小林一三(阪急・東宝グループのファウンダー)本をもろもろ読むとよいかと思いますがまずは
津金澤聰廣『宝塚戦略:小林一三の生活文化論』吉川弘文館、2018年
から。西宮七園(甲風園・甲東園・甲子園・苦楽園・香枦園・昭和園・甲陽園)とか、西宮球場(現ガーデンズ)とか、震災前と震災後の話とかいろいろおもしろいネタはありそう。

 

A

真のリーダーシップとは

E

デザインが与える影響

O

プライベートサロンの現状とこれから(大手サロンとの違い)

このあたりはちょっとこちらの守備範囲を超えてるので、あまりコメントできません。美容関係は「米澤泉」で検索すれば、何冊かヒットするかも。デザイン理論・批評だと「原研哉」「柏木博」あたりで検索ですが、グラフィックデザインの実制作に関しては、ちょっと…。Eさんは、森本千絵や吉田ユニあたりか好きなような気がしますが、最近評伝も出たし、今東京で展覧会やっているので石岡瑛子も見てみるとおもしろいかと思います。