60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

アメリカ関連抜書27


久保友香『ガングロ族の最期:ギャル文化の研究』イースト・プレス、2024

160-1p「『ビッグ・ウェンズデー』を手本に、日本の多くの若者たちがサーフィンを始めたのはなぜか。/理由の一つは、『ポパイ』などによって、カリフォルニアの若者たちの「アメリカの生活」が「カタログ」のように伝えられる中で「サーフィン」が主要なテーマになっていたことがあるだろう。
 理由はもう一つ考えられる。/「そこに出てくるじゃリー・ロペスを真似して、サーファーはみんな、マッシュルームカットに、髭を生やした。」/ジェリー・ロペスとは、すでにスターになっていたプロサーファーである。映画の中でも、プロサーファー役としてカメオ出演している。/物語に深く関わっているわけではないので、私は一度めは見逃したが、将造さんに話を聞いてからもう一度見たら、確かに「マッシュルームカットに髭」の「ガングロ・ルック」をしたサーファーが出ていた。/当時の日本おサーファーたちがそれを見逃されなかったということは、その頃、家庭用VTR(ビデオテープレコーダー)の普及が始まっていたからではないか。1970年代後半におけるベータとVHSの規格競争を終え、その後の1980年代、VTRの普及率は二%から八〇%に拡大するこになる。これにより、映画が示す外見の手本を、さらに詳細に再現しやすくなった。/そして、ジェリー・ロペスが示した「マッシュルームカットに髭」を特徴とする。サーファーの「ガングロ・ルック」の「モデル」に従って、外見の大量生産が起きたようだ。/1960年代初期にも、エルビス・プレスリー加山雄三が映画を通じてサーファーの「ガングロ・ルック」を見せたが、多くの人がそれに従って外見を再現するような「モデル」にはならなかった」

 

森達也編『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』論創社、2023