勤務校が同じという縁で、高岡先生よりのご恵投。
ファシズム(全体主義国家)でもなく福祉国家でもなく、「社会国家」。なるほど。
戦時期の社会政策史、とくに人口政策をめぐる多様なアクターのせめぎ合いが興味深い。文庫化もさもありなんの名著。
社会学だとすぐに「生権力」といった言葉を使ってしまうが、それでなにかわかった気になるのは社会学者の悪いくせかも。歴史学者としてのフーコーの力量は判断つかないが、史料への沈潜は、それなりにすごいものだったのだろうと思う(知らんけど)。
戦間期・戦時期にすでに、少産少死化への移行が認識されており、社会の高齢化や人口減が懸念されていたことを初めて知った。
人口の管理・統制に関しては、戦後日本は無策続きだったけど、まぁそれはそれでよいのかもしれない。
大学教員生活も終わりが見えてくると、現金なもので、少子化、それもアリなんじゃない~という心境に近づいている。
以前は、「少子化の何が悪いか」と論陣をはる大学教員に対して、「豊作を願わない農民」「豊漁を祈らない漁師」的な不自然さ、気持ち悪さを感じて、「ケッ」と思っていたのだが。(自らの生計が何によって立っているのかをふまえない物言いが基本的にうけつけない、というのが自身の宿痾だという自覚はあるのだが。私立大と国公立大では、また話が違うのかもだが)