60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

“「『神話』解体」神話”解体神話‥

文庫化された『増補版サブカルチャー神話解体』を、いい機会なので読む。
いつかはもう一度目を通さねばと思ってましたが、分量に気後れしてました。


う〜ん、なんだろう、相変わらずこの残尿感のような読後感は。
結局、相性が悪いとしか言いようがないのかな。


70年代の少女マンガに関して提示された3領域論は、未だにそれを超えるものはないでしょう。
性的コミュニケーションの項で出された、階層コード→世代コード→個人コード
という議論も、依然強い説得力を持っているように思います(この件、岩間氏の単著でも展開されてたと記憶してますが)。
当時としては、類を見ないほど綿密に一次資料に当たっており、70年前後のロリコン同人誌の箇所などは
ずいぶんためになりました(今なら阿島俊『漫画同人誌エトセトラ'82-'98』といった本がありますが)。


もちろん学術誌に掲載された文章ではないので、背景となる理論や調査の詳説が
依然抜けたままですが、その点も今回上野解説がずいぶんと補完してたようにも思います。


しかし、単なるマンガ論でも、音楽論でも、性的コミュニケーション論でもなく
もっと壮大な何ものか(若者?、コミュニケーション?、社会?)の変容を対象としてるはずなのですが
それが今回も、すっきりとは理解できなかった
(というか、がんばって理解しようという気になれなかった←私自身の加齢?、疲労?、やはり相性?)。


いろいろ批判も多い点ですが、「都内有名私立校の新人類文化が80年代に入りオタク文化へと頽落した」というセンは
かなり明瞭に出てるのでしょうし、なんとなくそうとも言えるかもしれない、とも思うのですが
そういう「新人類」や「オタク」への概念定義をすりゃ、そうなるだろう‥、くらいの感想です。


結局、相性なのかな。
1984年に大学卒業後上京し、広告業界にまぎれこんで3年ほど経ったとき
「ここにはずっと一生はいられないんだろうな」という予感がよぎりましたが、
それは「東京の広告代理店周辺に満ちている気」と自分の波長があわんなぁ
と漠然と感じていたからだと思います。なんか、そんな感じ。
それを言語化する気力もわいてこない、なんか、そんな感じ。