60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

広告文化論

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(18) パロディCMからCMパロディ、さらにはCMパロディCMやCMパロディ・コンテンツへ

パロディCMの例をあげていけば、まぁいくらでもさかのぼれると思うのですが、たとえば 日清 カップヌードル CM 「リア獣との闘い」篇 - YouTube これはもちろん映画「ジョーズ」(1975年)が下敷きになっています。 テレビがまだニューメディアだった頃、軽…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(17)「推し」という現象と、広告およびマーケティングとの関係について。

ここ数年来続く「推し(活)」ブーム。解説する必要もないと思いますが、メディアの「「推し」推し」も依然沈静化する様子はありません。 よるドラ だから私は推しました|番組|NHKアーカイブス まだまだ拡大中!推し活パワーが社会を変える - NHK クローズ…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(16)広告会社社員の描かれ方、語られ方をめぐって。

これまで何度か広告業界を描いたドラマや消費社会論の変遷――広告や消費をめぐってどのような議論がなされてきたか――についてふれてきました。私がそうしたことについて述べるようになったきっかけは、以下のネット記事です。 電通・博報堂の男性社員が「圧倒…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(15)大阪に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。

大阪・関西万博2025のことはおいといて、まず1970年の日本万国博覧会について。 吉見俊哉『博覧会の政治学:まなざしの近代』中公新書、1992238p「大阪万博は、高度成長を謳歌する日本の大企業にとって、恰好の巨大な広告展示場であった。これは決して比喩で…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(14)連続ドラマ風のシリーズCMではなく、広告業界を描いたドラマでもなく。

前々回、広告業界を描いたCMやドラマの話をしました (https://sidnanba.hatenablog.com/entry/2023/09/08/000000)。 また、連続ドラマ風のシリーズCMというのもよくあります。ソフトバンクの白戸家やBOSSの宇宙人ジョーンズのような。しかし、今回は「ドラ…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(13)The Big OneからAirまで。1980年代的な消費社会論が消費されてのち、四半世紀が経過しました。

今春公開された映画「Air」。1984年のNikeが舞台で、CEOフィル・ナイトからバスケットシューズ部門の立て直しを命じられた主人公が、まだ無名だったマイケル・ジョーダンと契約を結び、それがAir Jordanの大ヒットへとつながり、ライバル社に圧倒的な差をつ…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(12)広告関係者(役の人)が登場する広告について。

ここのところ身の上話っぽいことを書き散らかしているので、その流れというか勢いでさらに書きます。ご海容を。 1984年に広告会社に入り、東京の制作室に配属を受け、コピーライターの肩書をもらった頃のことです。さすがにコピー年鑑というものを購入し、パ…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(11)かつて「文化も売ります」と揶揄された西武池袋店が売られていくに際して。

1982年4月19日付『朝日新聞』の記事「文化も売ります百貨店 講座やら美術館やら」では、西武百貨店の池袋コミュニティ・カレッジや同じく池袋店の西武美術館などが紹介されています。そして、当時の西武百貨店社長・坂倉芳明は、「『文化』が事業として成り…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(10)広告に未来があるかはわからないが、過去があることはたしか。

日本の民間テレビ放送にも、すでに70年の歴史があるわけで、CMにおいても過去のものを引用したり、リメイクしたり、タイムトラベルしてみたりが、ここのところ増えているように思います。たとえば、マクドナルド50周年やベビースターのCMなど。 宮崎美子が1…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(9)今さらながら、MVは楽曲だけをプロモーションするわけではない。

以前、「(6)それは音楽なのか、広告なのか。」の回でも、NewJeans×iPhoneを例にちょっとだけふれましたが、MVがその楽曲のプロモーションだけではなく、タイアップないしコラボによって、ある商品・ブランド・企業の広告となるような手法は、YouTubeの普…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(8)広告業界を描きつつ、広告しつつのMAD MEN。

広告業界を描いたコンテンツとして、「サプリ」「左ききのエレン」などもろもろありますが、世界的なヒット作といえばドラマ「MAD MEN」。アメリカAMC製作で2007年から2015年にかけて、7シーズンにわたり放送され、エミー賞などを総なめにしました。 舞台は1…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(7)昭和の初めの「広告」について

NHK「映像の世紀」といえば、昨年8月29日放送の「東京 破壊と創造 関東大震災と東京大空襲」に、1930(昭和5)年の帝都復興祭の映像もありました。都電を止めた銀座の通りでは「日本初の広告行列も行われた。163の企業や団体が奇抜な演出を競いあい、市民の…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(6)それは音楽なのか、広告なのか。

8月21日、NHK「映像の世紀バタフライエフェクト GHQの6年8か月 マッカーサーの野望と挫折」が放送されました。 マッカーサーの野望。いろいろあったのでしょうが、大統領となることを強く夢見ていたことはたしかです。1948年には、日本に居ながら大統領選挙…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(5)広告はいったん置いといて「コンテンツ」について考える。

まず、「コンテンツ」とは何でしょう。 これまた非常に多義的に使われる言葉ですが、「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成一六年法律第八一号)」の第一章総則第二条にしたがい、「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(4)広告はいったん置いといて「PR」について考える。

広告(アドバタイジング)、宣伝(プロパガンダ)、PR(パブリック・リレーションズ、広報)は、いずれも非常に曖昧な定義、人それぞれの用法において使われており、これら三者が互換的に用いられることもしばしばです。とりあえず、広告・宣伝は、送り手か…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(3)「サイバーエージェント」と「内外通信社博報堂」

サイバーエージェント社(以下CA)のホームページにて同社提供の「サービス」を眺めていると、メディア(ネットTVのABEMA、ブログのAmeba、音楽配信のAWAなど)、インターネット広告、ゲーム(グランブルーファンタジー、ウマ娘プリティダービー、バンドリ!…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(2)「マスコミ」って何だ。

今からさかのぼること7年前、創刊75周年の静岡新聞と開局65年をむかえる静岡放送とが、次のようなテレビCMを流し、話題を呼びました。(https://www.acc-cm.or.jp/publications/acction/loco/2016.12/) www.youtube.com 夏の浜辺で、俺たちマスコミ関係だよ…

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(1)TCC賞既視感の正体

以前はネット記事のかたちで、広告時評のようなものを書かせてもらう機会もあったのですが、それらサイトと最近は疎遠になっていたりするので、この場に随時あげていこうと思います(noteとかよくわからないし)。 後期の授業準備もあって、徐々に「広告」に…