60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

訃報


水玉蛍之丞さんがお亡くなりになったとか。


戦後、名取洋之助の事務所(?)にいた岡部冬彦氏の次女。
岡部冬彦と言えば「ベビーギャング」だったり、
『きかんしゃ やえもん』(阿川弘之作)だったり。
うちの子どもたちは、トーマスよりも「やえもん」派だ。
水玉さんももともとはデザイナーで、
日本ベリエールアートセンターだったか
どこかグラフィックのプロダクションにおられたはず。


そして水玉さんと言えば、『こんなもんいかがっすかぁ』だが
私にとってはなんと言っても『ナウなヤング』の人だ。
文・杉元怜一、イラスト・水玉蛍之丞
『「就活」の社会史』でもろもろ参照させていただいた
杉元氏には失礼だが、『ナウなヤング』(岩波!)では
イラストに添えられた水玉さんの文章が、圧倒的だった。
ナンシー関的な観察眼や西原理恵子的な毒を
かわいらしい絵柄というオブラートに包みつつ…。
拙著『大二病』はかなりの部分、水玉さんの「ヤング」評に
インスパイアされたといってよい。スゲェ人がいるもんだと
広告代理店の社員時代、パソコン誌掲載の広告のために
4コママンガを書いていただいたりもした
(たしかクライアントはNTT、東西に分かれる以前の話)。
その頃出先表に、「水玉先生打合せ」と書いたりもしていた。
合掌


李龍徳『死にたくなったら電話して』河出書房新社、2014


略歴に埼玉生まれ、早稲田大卒とあったと記憶しているが
作者はかなり関西に土地勘があるんだろう、とまず感じる。
十三や南森町(?)、京都、阪神間などの描写が
いちいち腑に落ちる。作中の関西弁もネイティブな感じ。
カバーのあらすじに「心中」ものとあったのに、
それを見ずに読み進んだために、
もっと強烈な惨劇を予期していたので、
ややラストに失速感を勝手におぼえたが
まぁ、これまたすごい筆力、ぐいぐいと引き込まれる。


今日は午前中は原稿準備や事務処理作業
午後は4年生ゼミ、夜は大学院ゼミの忘年会。