60歳からの自分いじり

恥の多い生涯を送って来ましたが、何か?

「広告」に明日はあるのか、ないのか、どうなのか。(12)広告関係者(役の人)が登場する広告について。

 ここのところ身の上話っぽいことを書き散らかしているので、その流れというか勢いでさらに書きます。ご海容を。

 1984年に広告会社に入り、東京の制作室に配属を受け、コピーライターの肩書をもらった頃のことです。さすがにコピー年鑑というものを購入し、パラパラ眺めていて、ある雑誌広告に目が釘付けになりました。

 サントリーの広告で、ウィスキーのオールド(Old)をペリエ(Perrier)で割って飲みましょうという広告なのですが、そのキャッチフレーズに

 

「コピーライターという立場を離れ、一個人として、私はいいたい。

 オールド&ペリエは、たしかにうまい。」

 

とありました。https://www.tcc.gr.jp/copira/id/10063/

 で、確認してみましたが、1985年の作品です。その年の大賞とかすぐには思い出せないのですが、この広告のことだけはなぜか鮮明に覚えています。

 まぁ、1980年代前半にはコピーライターブームみたいなものがあって、今学生たちにとっては某大の理事長の方とか、まず草壁タツオの声優さんの方とかが、(サブ)カルチャーヒロイン、ヒーローとして輝いていました。

 しかし、広告の作り手が広告の中に入り込みつつ、広告として成り立たせてしまうとは。また、それを世間が許容し、なんなら好感していたとは。やはり衝撃的です。

 でも考えてみれば、CMの中に広告の作り手や広告関係者が出てくる仕組みは、けっこう近年でもあります。ネスレ日本の「踊る大宣伝会議、或いは私は如何にして踊るのを止めてゲームのルールを変えるに至ったか。」というキャンペーンは、たしかSeason2くらいまではあったはず。最初はネスカフェアンバサダーのプロモーションだったと記憶していますが、コーヒーの広告づくりのために(その手前の競合プレゼン勝利のために)、広告会社のさまざまな部署の人やライバル会社の人などが入り乱れ……といった感じに展開していったようです。

ショートフィルムを通して広告のルールそのものを変えていく | ブレーンデジタル版

 その他、ロバートの秋山竜次さんが伝説のCMディレクター、自称「エクセレント・クリエイティブ・ディレクター」近松マサヲミを演じるサントリーのんある気分のものとか、吉沢亮さんがCMプランナー要正直を演じるアイリスオーヤマのシリーズだとか。

伝説のCMディレクター、近松マサヲミがついに謎のベールを脱ぐ/サントリー「のんある気分」CM【ダイジェスト版】 - YouTube

【吉沢亮さん】airwill「巨匠のネーミング ふつう篇」30秒 - YouTube

 まぁ、前者は「クリエイターズファイル」の憑依芸の一つのバリエーションくらいな感じですが、後者の方は、アイリスオーヤマのさまざまな商品の広告制作のプロセスを描くことで、それぞれの商品特長をアピールするフォーマットになっています。

 それからマンガ「左利きのエレン」も、登場人物である広告会社のクリエイターたちをフィーチャーしての、広告タイアップ(最近の言い方だとコラボレーションやら案件やら)をよく目にします。

衝撃のコラボ!左ききのエレン×プレモル - 少年ジャンプ+

 ドラマといえば、Mad Menに関して、劇中に当時の広告がつかわれていたり、劇中の広告案が現実のものになったりといった話もしました。

https://sidnanba.hatenablog.com/entry/2023/08/28/000000

 広告業界ものドラマといえば、往年の「ラブジェネレーション」や「サプリ」あたりしか頭に浮かばず(「特命係長 只野仁」は荒唐無稽すぎるし)、「ホスト相続しちゃいました」も好きでしたがどちらかというとホスト業界もので、「左利きのエレン」の続編のうわさも聞かず‥‥。

 この秋から始まる「ポケットに冒険をつめこんで」に期待したいと思います。

ゲーム『ポケモン』初のオリジナルドラマがテレビ東京で放送 西野七瀬が主人公に|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 ドラマとしての出来もそうですが、タイアップの仕掛けもいろいろ巧みにはりめぐらされていそう。そうしたテレビ東京の一連の深夜ドラマについては、また回を改めて。